みなさんは沙羅双樹ってご存じでしょうか?
平家物語の文章に沙羅双樹という花が登場しますが、どんな花なのか想像が難しいですよね。
また沙羅双樹は夏椿と似ているといわれ、認識が混合している方もいるかもしれません。
今回は沙羅双樹と夏椿の違い、花の色、平家物語の沙羅双樹の花の色・読み方・意味、花の香りなど詳しくご紹介していきます。
沙羅双樹と夏椿の違いとは?実際の沙羅双樹の花の色は何色なの?
「祇園精舎(ぎおんそうじゃ)の鐘の声 諸行無常(しょぎょうむじょう)の響きあり 沙羅双樹(さらそうじゅ)の花の色 盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらわす」
小学校で習う平家物語、鎌倉時代のお話です。
平家と源氏の戦いから滅びまでが描かれ〔力があるものはいつかは滅んでいく〕といった内容です。
誰もが聞き覚えのある、とても有名なお話の平家物語。
そこに登場するのが沙羅双樹です。
まずは沙羅双樹と夏椿の2つを詳しくご紹介していきます。
インド原産のフタバガキ科の樹木。
大きいもので30メートルにまで成長し、淡い黄色の花を咲かせます。
暖かい環境を好み、開花時期は3月~7月。
日本原産のツバキ科の花木。
木の高さは10メートルぐらいで、透明感のある白い花を咲かせます。
開花時期は6月頃。夏に咲く椿に似た花から〔夏椿〕と名付けられました。
このように沙羅双樹と夏椿は全く別の花ではありますが、実はどちらも沙羅の木(シャラのき)という別名を持っています。
この沙羅の木は、仏教で三大神木といわれ大切にされている樹木です。
夏椿が沙羅の木と呼ばれるようになった理由は諸説ありますが〔寒い日本では咲かない沙羅双樹に代わり、見た目が似ている夏椿を沙羅の木として神社に植えるようになった〕と言われています。
平家物語の沙羅双樹の花の色の読み方と意味とは?
平家物語では「沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす」とあり、読み方は〔じょうしゃひっすいのことわりをあらわす〕です。
現代語に変えると「力があるものも花の色のように変化し、衰えていく」いう意味も持ち、その変化の例えを沙羅双樹で表しました。
この時代から、淡い黄色い花を咲かせるとされていた沙羅双樹ですが、お釈迦様が入滅すると同時に真っ白く変化したとも言われています。
そのため平家物語では〔大きな勢力も、淡い黄色から白く変化した沙羅双樹の花のように変わり散っていく〕と表現されたのではないでしょうか。
沙羅双樹と夏椿の香りとは?
似ているとされる沙羅双樹と夏椿。
この2つの花はどんな香りがするのでしょうか。
沙羅双樹は、フルーティで爽やかなジャスミンのような香り。
心地がよいと人気があり、香料としても販売されています。
一方夏椿は目立った香りはありません。
見た目が似ていて呼び名が同じでも、お互いに違った部分をもっているんですね。
さいごに
今回は沙羅双樹と夏椿の違いや意味、花の色など詳しくご紹介してきました。
その物語の一部に注目し深く知ってみると、その時代背景や伝えたかった意味をより理解できる気がします。
夏椿は三大神木とされる沙羅双樹に似ているだけではなく、花言葉〔愛らしさ・はかない美しさ〕にあるように、品があってとても美しい花です。
もし身近に夏椿を見つけた際は、じっくりと観察してみてくださいね。
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